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2月の訪日外国人が過去最高の63万2千人(前年比23%増)を示すも、観光競争力では日本は世界25位
2007年04月11日 13:14 更新

平成19年2月に訪日した外国人観光客(観光業界ではインバウンドと呼ぶ)の数が発表された。

前年2月に比べると、訪日した外国人観光客の数は22.9%増えて過去最高の63万1、800人に達した。(3月末・国際観光振興機構)

伸びを牽引したのはアジア各国(韓国17万5千人、台湾12万7千人、中国7万5千人、香港4万1千人、シンガポール9千人等)の旧正月の連休。

(これらの国の旧正月は陰暦の関係で該当する正月の月が変動して1月か2月のどちらかになる。今年は2月になった)

伸び率ではシンガポールが84.5%と突出した伸びをみせているものの、まだ1万人に達しておらず今後の伸びが期待されるところ。ついで香港の47.1%、台湾の37%と続いている。

欧州ではイギリスが割引航空券の発売もあって9.7%増の1万5、900人と伸びを示し、フランスからの訪日客は18.6%増の8、800人と順調に伸びている。

ちなみに1~2月でみると、これも前年より10.8%増えて124万9、600人と伸びを示している。

1~2月でみると最も高い伸び率を示したのは韓国の20.7%で44万人。円安ウォン高の傾向が訪日旅行の需要を大幅に伸ばしている。

各地で外国人観光客を取り込むあの手この手を展開

ご存じのように今では、外国人観光客の伸びが各地の温泉や施設での日本人客の減少をカバーしている。外国人に人気のいくつかの事例をあげておこう。

たとえばよく知られているのは北海道ニセコ地区のスキー場へのオーストラリアからのスキー客の増加だ。

(ニセコへスキーに訪れる観光客を中心に)オーストラリアからの観光客の数は3万8千600人と1~2月で12%、二桁の伸びを見せている。

ニセコはほんの5、6年前まではオーストラリアからのスキー客は数百人でしかなった。それが今年は1万人(延べ9万人)となり、宿泊客の2割以上を占めるまでになっている。

またオーストラリア人スキー客向けのコンドミニアムの建設が40棟以上を上回るなどの新たな動きも見られる。

ただし長期滞在型のリゾートとしての環境となると「まだまだ」というのが実情。

「観光カリスマ」の一人でもあり、ニセコへのオーストラリア人客誘致のきっかけをつくったロス・フィンドレーは、雪道の歩道や車道の整備ひとつとっても、街づくりにビジョンがない、と手厳しい指摘をしている。

同じく各地のスキー場では今冬、熾烈な外国人客の誘致合戦がくり広げられている。長野五輪をきっかけに外国にもスキー場として知られるようになったのが長野県の白馬スキー場。

韓国人などのスキー客が増え、前年の延べ宿泊数が約3万4千泊。今年は約4万泊を超えているはず。もちろん増えているのはアジア各国へのセールス活動によるもの。

それから群馬県の草津温泉。観光客は年間約300万人。そのうち外国人客はまだ0.3~0.4%とすくないが、これを10%まで伸ばそうと外国人参加型イベントの開催や外国語の表記やWebなどに力をいれたり、外国人にも人気のある名物の「湯もみ」の施設改造もすすんでいる。

広大な敷地に九つの伝統工芸の館を建て、紙漉(かみすき)や金箔張りなどを体験させて外国人に人気なのが石川県小松市にある伝統工芸のテーマーパーク。

韓国や台湾などの50以上の旅行会社のツアーに組み込まれるほどの人気で、06年は約2万1千人が訪れている。

国際競争力では世界25位の日本

ところで「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を中心にこうしたインバウンド振興策がすすめられている一方で、世界的には日本の観光の現実がどういうものかを示すランキングが発表されている。

3月早々、ダボス会議などで知られる世界経済フォーラムが発表した世界各国の「旅行・観光競争力」である。この競争力(114カ国・地域中)ランキングで日本は25位とふるわなかった。

このランキング付には、各国の観光政策や交通インフラ、観光資源など13の分野に関する統計やアンケートがまとめて指標化され、単なる観光地の人気ランキングとならないように総合的な評価システムが取り入れられている。

日本がふるわなかったのは空港網の整備(110位)や購買力平価に基づく観光業の価格競争力(111位)などで、これらはほぼ最低ラインといってよい。

空港網の整備などは早くから指摘されていた危惧がほぼ現実化したといえる。アジアのハブ空港の競争から完全に取り残されたということだ(それで「観光客誘致だ」「見本市競争だ」はないだろう)。

それに観光政策としての入国ビザの必要度(43位)、政府の観光業に対する優先度(98位)なども低く評価されている。

この数年でにわかに動き出したインバウンド施策だけれども、その実、国内の動きから受ける感覚と国外からの厳しい評価では、フィンドレーが言うように「まだまだ」というところが実状のようだ。 (文中敬称略)


*参考資料 国際観光振興機構(JNTO)の訪日外国人数2007年2月推計値/日経新聞1~4月の観光関連記事



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