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乃村工藝社の中間決算とイベント業界との関わりって何?
2007年10月04日 10:19 更新

乃村工藝社が2007年8月中間期の決算を発表しています。

イベント業界でイベント企画・運営を手がける企業は中小の企業が大半です。一方、乃村工藝社はイベント専業ではないもののイベントに関わりのある上場企業としてその動向も含めて(イベント業界に影響を及ぼすという意味でも)大きな存在感を示しています。
そこで細かな数値は表示できないものの、乃村工藝社が半期でどれぐらいの売り上げをあげているものなのか、その最新の数値を参考までに示しておきます。

同社の連結での当期中間期の売上高は、前年同期比48%増の564億円。営業利益は同じく77%増の32億円となっています。
参考までに通期の予想売り上げを見ますと(9月に発表された上方修正による)、売上高は半期のほぼ倍増で、前期比32%増の1080億円、予想営業利益は同17%増の38億円です。

同社は、事業領域全体をディスプレイ事業でくくり、その中に、個々の事業領域を8つの分野としてまとめています(当期の半期の売り上げと構成比も示す)。

8つの分野とは次のようになります。
① 博覧会・イベント市場(4億/0.7%)
② 広報・販売促進市場(96億/17.2%)
③ 専門店市場(236億/42.1%)
④ 百貨店・量販店市場(47億/8.5%)
⑤ 複合商業施設市場(31億/5.6%)
⑥ 博物館・美術館市場(41億/7.4%)
⑦ 余暇施設市場(34億/6.2%)
⑧ その他の市場(68億/12.3%)

こうしてみますと、イベントに関わりのある市場ジャンルは1%にも満たない小さな市場だということがわかります。
しかしよく見ると、広報・販促市場には展示会やSPイベントなども含まれますし(むしろイベント絡みの仕事が主体のようです)、余暇施設市場にしてもキャラクターをテーマにした子供受けのアミューズメント施設があったり、複合エンタテーメント施設や遊園地などがあったりします。それに博物館・美術館市場で同社は指定管理者として企画・運営までも手がけています。

つまり一概にイベントの分野ではないからと言って1%にも満たないとは言い切れないのです。たとえば広報・販促市場をイベント市場として考えてみますと、それだけで全体の18%となり、100億円になってしまいます。
要するに、同社の個々の市場分野それぞれがイベントに関わっているということです。同社としては便宜上、市場を業態で区切っての営業数値なりを出しているということです。

また個々の案件には建設会社が受注するような大きな規模の案件もあることからして、(今更改めて言うまでもなく)単なる一ディスプレイ企業ではなくなっていることも疑い得ません。やはりイベント業界をリードする大手企業としてとらえておくべきでしょう。

このところ上場企業の多くがIR(株主向けの広報活動)に力を入れ、(企業にとって)安定した株主を抱え込もうとして積極的に個人株主向けにPR活動を展開しています。
その意味ではイベント業界には上場企業そのものが少ないですから、一般向けや、個人向けのPR広報活動となりますと、どうしても機会が限られます。業界に特に関わりのある上場企業の活動は(IR活動も含めて)広く業界への関心を集める、一つの大きな行動とも言えます。

日常的にイベント業務を通じて企業や自治体の広報・宣伝・PR活動を企画・運営していながら、業界の活動や業界からの情報発信はきわめて限られているのがイベント業界です。その意味でも、上場大手の活動には少なからず注目しておくべきでしょう。



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